20131102 夜の古城に足音が響き渡る
【ポルトガル,ロカ岬】

朝食.素晴らしい.余は非常に満足である.

デザートのチョコレートケーキまで平らげてから,領園の見廻りに出掛けた.
大西洋に至るまで,民は平和に暮らしているようだ.

優雅な散策は時間がかかる.
シントラには幾つかの見所があるのだが,西の端ロカ岬に行き,東部のエストレモスで泊まるには,もう発たないといけない.旅程に少し無理があった.

シントラの城.マヌエル様式の豪華なものらしいが,遠くから望んだのみ.


ここでバスに乗り換えるつもりであったが,表示がなく,なかなかバス停にたどり着けなかった.様々な地方と連絡するバスが発着する大きなバス停なのだが,外からはバス停であると分かりづらい構造なのだ.
バスチケットの購入にはクレジットカードが使えず,所持金が少なくなってきた.クレジットカードでキャッシングを試みるも,エラーで使えず.
細やかな不安を抱えつつ,バスは走り出した.

ヴァスコ・ダ・ガマ橋.テージョ川に架かる橋なのだが,川幅が広く,海のようである.地図で見ると橋の長さは 18 km 程もある.
次第に迫る夕闇の中をバスは東へ向かう.陽が落ちると,光は殆どない.
途中のバス停,モンテモル・オ・ノヴォで遠くに城が見えたくらいか.
エストレモスのバス停は真っ暗で,ATM を探そうという気も起きない.財布を覗いてからタクシーに宿までの金額を聞けば,5 ユーロだという.何とか歩かずに済みそうだ.
二日続けてのポサーダ.昨日は 18 世紀の宮殿であったが,最終日の宿は,13 世紀に建てられた城である.
5 ユーロのタクシー代を気にする人間が城に泊まって良いものか疑問だが,間違いなくお勧めできる.

城壁をくぐり,車を降り立つと,主塔の聳え立つ,紛れもなき,城である.エントランスも城.廊下も城.ベッドはゴブラン織の天蓋付き.
部屋から先程の主塔が見える.入場料を取られそうな城に泊まるのだと思うとなんだか可笑しくなってくる.
折角なので夕食は城の中のレストランで頂いた.想像通り晩餐会の開かれそうな調度であるが,値段は思いのほか安い.
猪の豆煮込みを,アレンテージョ地方のパンに詰めたものを頂いた.ワインもアレンテージョのものをグラスで二種.Mestre franco と Loios.
なかなか野趣あふれる味わいである.後者はアレンテージョの中でも,エストレモスの産.

折角なので,夜の城の中を歩いた.なんだか物語の世界に潜り込んだようだ.
明日は帰国日である.フライトのオンラインチェックインが出来るか分からなかったので,明日は朝にエストレモスを発つ予定であったが,生涯に数度とない城での朝食を犠牲にはできない.
ギリギリは承知の上で,昼過ぎのバスでリスボンに帰ることにした.
城の上に満天の星.
シントラには幾つかの見所があるのだが,西の端ロカ岬に行き,東部のエストレモスで泊まるには,もう発たないといけない.旅程に少し無理があった.

シントラの城.マヌエル様式の豪華なものらしいが,遠くから望んだのみ.


13:10 シントラ駅発カスカイス行きの403 番バスに乗った.バス内では往復券は買えず,片道 4.05 ユーロ.
ロカ岬まで 50 分ほどバスに揺られる.シントラからしばらく,道路に沿うように線路が走っていた.こんな田舎に路面電車があるのだろうか.貨物用のトロッコでも走らせるのだろうか.
九十九折の道の両脇に野菜を中心とした市場が立ち並んでいる.

白い壁のアクセントに青い線が目立つようになると,海はもうすぐだ.
ユーラシア大陸の西の果て,ヨーロッパの終点.切り立った崖の上の土を踏みしめる.
極東から来た小さな身に強い風が吹き付ける.今なら空を飛べそうな気すらする.

太陽は雲に隠れているのに,水平線は白く輝いている.海の向こうは快晴なのだろう.
岩に腰掛け,昨日の宿で貰ったシントラの菓子を頂いた.
丸いのがケイジャーダ,塩抜きした塩蔵チーズが入っている.少なくとも 13 世紀には作られていたそうだ.細長いのがトラヴセイロ.アーモンドのクリームのパイ菓子.
バスで一旦シントラに戻り,リスボンへ向かった.本日の宿は東部,エスモレモスである.
シントラからリスボンに向かうと,市内中心部にあるロシオ駅に着くのだが,そこから東部に向かうには,地下鉄で北部にあるセッテ・リオス駅に行かねばならない
そこでロシオ駅に着く手前で,リスボンの東部にあるオリエンテ駅行きの鉄道に乗り換え,セッテ・リオス駅で降りた.ロカ岬まで 50 分ほどバスに揺られる.シントラからしばらく,道路に沿うように線路が走っていた.こんな田舎に路面電車があるのだろうか.貨物用のトロッコでも走らせるのだろうか.
九十九折の道の両脇に野菜を中心とした市場が立ち並んでいる.

白い壁のアクセントに青い線が目立つようになると,海はもうすぐだ.

ユーラシア大陸の西の果て,ヨーロッパの終点.切り立った崖の上の土を踏みしめる.
極東から来た小さな身に強い風が吹き付ける.今なら空を飛べそうな気すらする.

太陽は雲に隠れているのに,水平線は白く輝いている.海の向こうは快晴なのだろう.

岩に腰掛け,昨日の宿で貰ったシントラの菓子を頂いた.
丸いのがケイジャーダ,塩抜きした塩蔵チーズが入っている.少なくとも 13 世紀には作られていたそうだ.細長いのがトラヴセイロ.アーモンドのクリームのパイ菓子.
バスで一旦シントラに戻り,リスボンへ向かった.本日の宿は東部,エスモレモスである.
シントラからリスボンに向かうと,市内中心部にあるロシオ駅に着くのだが,そこから東部に向かうには,地下鉄で北部にあるセッテ・リオス駅に行かねばならない

ここでバスに乗り換えるつもりであったが,表示がなく,なかなかバス停にたどり着けなかった.様々な地方と連絡するバスが発着する大きなバス停なのだが,外からはバス停であると分かりづらい構造なのだ.
バスチケットの購入にはクレジットカードが使えず,所持金が少なくなってきた.クレジットカードでキャッシングを試みるも,エラーで使えず.
細やかな不安を抱えつつ,バスは走り出した.

ヴァスコ・ダ・ガマ橋.テージョ川に架かる橋なのだが,川幅が広く,海のようである.地図で見ると橋の長さは 18 km 程もある.
次第に迫る夕闇の中をバスは東へ向かう.陽が落ちると,光は殆どない.
途中のバス停,モンテモル・オ・ノヴォで遠くに城が見えたくらいか.
エストレモスのバス停は真っ暗で,ATM を探そうという気も起きない.財布を覗いてからタクシーに宿までの金額を聞けば,5 ユーロだという.何とか歩かずに済みそうだ.

二日続けてのポサーダ.昨日は 18 世紀の宮殿であったが,最終日の宿は,13 世紀に建てられた城である.
5 ユーロのタクシー代を気にする人間が城に泊まって良いものか疑問だが,間違いなくお勧めできる.

城壁をくぐり,車を降り立つと,主塔の聳え立つ,紛れもなき,城である.エントランスも城.廊下も城.ベッドはゴブラン織の天蓋付き.
部屋から先程の主塔が見える.入場料を取られそうな城に泊まるのだと思うとなんだか可笑しくなってくる.
折角なので夕食は城の中のレストランで頂いた.想像通り晩餐会の開かれそうな調度であるが,値段は思いのほか安い.
猪の豆煮込みを,アレンテージョ地方のパンに詰めたものを頂いた.ワインもアレンテージョのものをグラスで二種.Mestre franco と Loios.
なかなか野趣あふれる味わいである.後者はアレンテージョの中でも,エストレモスの産.


折角なので,夜の城の中を歩いた.なんだか物語の世界に潜り込んだようだ.

明日は帰国日である.フライトのオンラインチェックインが出来るか分からなかったので,明日は朝にエストレモスを発つ予定であったが,生涯に数度とない城での朝食を犠牲にはできない.
ギリギリは承知の上で,昼過ぎのバスでリスボンに帰ることにした.
城の上に満天の星.
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