20240101 ときを超えて残るもの
【東海道:笠寺~宮宿(熱田宿)】朝食のバイキングでは、おせちを中心に。昆布巻き、なます、伊達巻、黒豆、きんとん。
まぁ、ホテルバイキングという感じ。売りのライブキッチンは年末年始は休みのようで、オムレツを焼いてもらうことは出来ない。
さて、まずは昨日の終点、笠覆寺(りゅうふくじ)へ向かった。
この寺は、別名笠寺観音という。
何でも、ご本尊の観音様が荒廃した寺で雨に打たれていたところ、心優しい娘が自らの笠をかけたエピソードから名付けられたそうだ。藤原兼平がこの娘を妻に迎え、玉照姫と呼ばれるようになった。
昨日書いた様に、この寺は織田と今川の人質交換で有名であるが、笠を模った几帳の印象的な本堂や、山門の仁王像など、見どころも多い。
大小の地蔵がならぶ「おもかる地蔵さま(抱き地蔵さま)」は特徴的。
願い事を思い浮かべてから地蔵を持ち上げ、軽く感じれば願い事が叶いやすく、重く感じれば困難、というお告げである、といういわゆる「おもかる地蔵(あるいはおもかる石)」は、大阪や高知など、さまざまなエリアにあるが、笠覆寺は大小の地蔵を備えている。
えーっと、自分で願い事の叶いやすさを判断して、適切な重さの地蔵に願いをしろと……?
寺の解説には、抱き上げて願い事をして下さい、とのみ書かれている。
取り敢えず、一番大きいお地蔵様を持ち上げ、困難そうなお願い事をした。
困難だと思って努力する方が、簡単だと思って努力しないより、叶う率が上がると思うんだよね。
ということは、選んだ地蔵の大きさは、達成したい気持ちの大きさを反映しているのかもしれない。
更に東海道を歩く。
宮宿の本陣跡は、ひつまぶしで有名な「あつた蓬莱軒」本店駐車場の中にある。
蓬莱軒は明治六年の創業なので、江戸時代にはなかった。
明治時代の建物の写真は、蓬莱軒のウェブサイトに載っているが、本陣との記載はないので、別の建物ではないかと思う。
いずれにしても、名古屋は空襲で古い建物はほとんど残っていない。
なお、蓬莱軒を運営している株式会社蓬莱陣屋が、奇跡的に残った宮宿の旧旅籠屋「伊勢久」を移築・改修し飲食事業を行う計画がある。
2025年に営業開始したら、ぜひ行きたい。
https://toukaisousei.com/vol-114/
本陣から少し歩くと、堀川と新堀川の合流部に突き出た桟橋に着く。
「七里の渡し」の宮宿側の船着き場であり、「宮の渡し」とも呼ばれる。
ここから桑名宿までの七里が、東海道唯一の海路であった。
周辺には、延宝四(1676)年に設置された「時の鐘」や、寛永二(1625)年に別位置に建立された常夜灯の復元が置かれ、雰囲気のある一角となっている。
渡しの管轄は尾張藩にあり、暁七ツ(午前四時)と夕七ツ(午後四時)に鳴る「時の鐘」の音を合図に、渡しが運営されていた。
通りの向かいには、元料亭の魚半の建物が、グループホームとなっている.明治29年に建てられたという町屋造は名古屋市の有形文化財である。
桟橋の周囲に植えられたすすきは新年の日を浴び、黄金色に輝いている。年老いて旅に出ることが難しくなったなら、こんな場所で、心だけでも旅に出るのも悪くない。
しかるのち、熱田神宮へ初詣に向かった。
参道には屋台が並び、華やいでいる。ベビーカステラと、たませんには、どこも長蛇の列ができている。
名古屋名物、たません400円。
鉄板で温めた、たこせんべい(えびせんべいのこともある)に、お好み焼きソースを塗り、目玉焼きを乗せて、マヨネーズをかける。せんべいを折って二つ折りにしたものが、たませんである。
昭和30年代頃の駄菓子屋で生まれたものと言われている。
お祭りの常連で、そういえば、さきほど笠覆寺の境内にもあったな。
僕が買ったものには、揚げ玉も入っていて、チープな味が祭り気分である。
串カツは、5ミリ角の円柱状の肉に、厚い衣をまとい、三本600円。お祭りとはいえ、ちと高くないか?
本殿で参拝を終えたところで、密集した人混み全体から、突然、不気味なスマートフォンの地震速報の音が湧き上がり、直後大きな揺れを感じた。
石川震度7。
先が読めないので、取り敢えず、ホテルに帰ったところ、エレベーターが停まっていた。
ホテルの人は、メーカーに復旧を頼んでいるが、めどは立たないという。
諦めて9階まで階段を登ったが、高齢の方などはかなり大変だと思う。
名古屋は最初の揺れ以外は、ほとんど余震は感じなかった
部屋でしばらく休んでから、風呂に入り、ホテル館内のレストランで食事をした。
雑煮を頼みたかったが、売り切れていたので、牛タンしゃぶしゃぶとふかひれあんかけ茶碗蒸しを食べた。
牛タンは少し臭みを感じたが、クレソンとネギと食べると、悪くない。茶碗蒸しも美味しかった。
愛知の酒は蓬莱泉しかなかったので、それで。
隣の大広間からは、演歌が聞こえてくる。
「ラッシャイ,ラッシャイ!ラッシャイ,ラッシャーイ!」
眼の端でニュースを追っていると、地震の被害は大きそうである。
不釣り合いに明るい空騒ぎが、何だか乾いて感じられる。
マッサージを受けて、早めに就寝。
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