20201219 伊勢に奉献する米は子供と作る

【東海道: 茅ヶ崎~大磯】

昼ごろ自宅を出る.

本日の気温は 3-10 ℃.日中は 7-9 ℃くらい.迷ったのち,薄手のシャツの上にダウンのベスト,起毛のコートを着込み,平織のマフラーを巻いた.


新橋駅の階段を水で清掃していた男性は「気を付けて下さいね.滑りますよ.済みませんね,滑りますよ」と声をかけて,いかにも申し訳なさそうに狭い階段の端に身を寄せた.


上野東京ライン小田原行きの席は概ね埋まっており,チラホラと立っている客もいる.


茅ヶ崎ではまず昼食.目当ての居酒屋は 15:00 までランチをやっているので,遅い出だしにありがたい.その名も「一里塚」.前回の旅で訪れた,珍しく往時の姿を残している一里塚からきている.土が積まれて小山になっている.


外で小太りの亭主がタバコを吸っていたが,僕の姿を認めると,せっついた様子で「どうぞどうぞ!」と招き入れた.

入り口付近に飾られたガンダムのフィギュアは彼の趣味に違いない.

注文は海鮮一里塚丼 1580 円なり.

大量の具はマグロ,トロ,イワシ,シメサバ,カンパチ,玉子,人工イクラ.

フレンチパン天という,フランスパンにカスタードを浸して天ぷらにしたデザートも気になるが,胃がもたれそうだったのでやめておいた.メイプルシロップをかけて食べるそうだ.


一里塚 ★★★★☆ (美味しかったけれど特徴に欠けていたので4つ)


歩き出してすぐにある第六天神社に寄った.さほど大きくはないが,裏に御神木の松があり,中々雰囲気の良い神社である.

境内の端に,ヤマハ音楽教室と看板を付けた建物がある.中を覗くと人のいない保育園のようだった.

社務所なのか迷ったが,チャイムのついた建物があったので,鳴らしてみた.「はい」と返事があったので,引き戸を開けると,紺色のフリースを着た 70 過ぎと思しき男性が立っている.神主だそうだ.

「御朱印はやっていますか?」「はいはい,御朱印ね.どこに書きますか?」慣れた風で御朱印帳を受け取り,左の方へ入っていった.


中は一般の家のようであるが,先の天皇陛下の即位式の写真や,祭りの写真などある.


今度は右の奥から,50 歳ほどの男性が,正月飾りの熊手をいくつか手に出てきた.顔が神主に似ている.息子なのだろう.

奥に去っていったと思ったら,木を切る音が聞こえてきた.正月の準備でもしているのだろうか.


伊勢神宮へ初穂米の奉献渡御の写真があったので御朱印帳を渡しにきた神主に聞いてみると,何度か奉献しているのだという.奉献する際は春に農家から田んぼを借り,子供たちと一緒に育てるのだという.秋には大人が俵を作り,子供はカカシを作る.

「寒川でもそこまではしませんよ.農家に作ってもらうだけです」

寒川神社は高座郡寒川町にある神社.1600 年前に創建された,全国でも有数の神社で,その取り仕切る浜降祭には,第六天神社を含む茅ヶ崎の神社三十余りの神社が参加している.

なお寒川神社は四つの神輿を出しているそうだ.


神輿はこの辺ではワッショイではなく,ドッコイと言って担ぐ.神輿は縦棒2本のみで横棒はない.興味深いのは,神輿の下の方に箪笥の引き出しの金具のようなものが付いていて,掛け声に合わせて神輿を叩いて拍子を取るという.

こちらの動画の 5:20 あたりから見られる.

https://youtu.be/1xNG2QGzsBg


神主は壁の浜降祭りの写真の群衆を指して「ほら,ここに一人だけ振り返っている人がいるでしょう?これ,昭和 55 年の写真なんですけどね,この間ここに来たご婦人が,これ,うちのお父さんです!と言うんですよ.そうですか,お元気ですか,と聞いたら,もう亡くなったと言っていましたが…」

玄関に置かれた石油ファンヒーターが暖かい.たくさんの人が戸を開けて行くのだろう.やはり普通の家ではないのだ.


第六天神社: ★★★★☆


などとしているうち,時刻は夕刻に迫った.相模川の上から遠くに富士山が見えた.


相模川を渡ったところにある弘栄堂という創業明治 40 年の和菓子屋で,ちょんまげ最中を買った.皮が香ばしく,餅と栗が入っていてうまい.

ちょんまげ最中には少し面白い話がある.


若者が喧嘩の時に寒川の神輿を川に落としてしまい打首を命じられた.しかし処刑の日,ちょんまげのみで許されたことから,ちょんまげ塚という塚が店の裏にある蓮光寺に作られ,その塚に因んで作られた最中だという.

その落としてしまった神輿は網本が拾って寒川神社に届け,お礼のために浜降祭が開かれるようになったというのだから,今日は話のまとまりがいい.

弘栄堂: ★★★★☆ (最中自体も美味しかったが,ストーリーが面白かったので星多め)


冬の日没は早い.まだ二時間も歩いていないのに暗くなってきた.こうなると御朱印も貰えないので,割り切って黙々と歩く.向こうには富士.

平塚宿に入り,見附 (宿の始まりを示す.江戸側が江戸見附,京側が上方見附) や本陣 (大名のための宿), 問屋場など,宿の主な施設の跡地をめぐる.と言っても街道沿いに立てられた看板を追いかけるだけだ.


本日の宿は大磯プリンスホテル.旅装束には似つかわしくない上等の宿であるが,この辺りにはここしか泊まる場所がないのだ.


夕食は宿の近くの居酒屋,楽市楽座.

しらすのたまり漬け,からすみ,銀杏揚げ,黒むつの天ぷらと焼き鳥.酒は茅ヶ崎の天青,特別本醸造.まぁ無難な味.

楽市楽座: ★★★☆☆ (特徴がなかったので…)


ほろ酔い気分で宿の露天風呂に入る.あんまりこういうの,良くないらしいなぁ.気持ちいいなぁ….


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