20220612 最古の町は街中を鉄道が走る
朝食は昨日とほぼ同じ。
パンはツォップフ。三つ編みのようにして作る。バターやジャムの味を引き立てる素朴な味。
Hotel Palazzo Mysanus:★★★★☆(ちょっと高いので、一人旅だと迷うけれど、二人以上ならオススメ。2 泊以上するなら水着を忘れずに)
サメーダンは、地方色のあるスイスの田舎という感じで、なかなかのんびりできた。
さて、またレーティッシュ鉄道でチューリッヒへ。
車内販売の男性は、これでもかというくらいスイス風の制服。コーヒーはその場でラヴァッツァのマシンで淹れてくれる(カプセルだけど)。
車内放送はドイツ語 + イタリア語だったり、ドイツ語 + ロマンシュ語だったりする。そのエリアの言語に対応しているようで、面白い。
そうこうするうち、ライヘナウ・タミンス Reichenau-Tamins に着いた。
トゥーシス Thusis からライヘナウまでレーリッシュ鉄道はヒンターライン(後方ライン川)に沿って走るが、ヒンターラインはライヘナウで西側から流れてきたフォルデルライン(前方ライン川)と合流し、ライン川となる。
ここからドイツ・フランスの間を走り、オランダで北海に流れるのだ。
https://www.google.com/maps/@46.8193903,9.4003058,14z?hl=jp
僕はライン川が上流で二本の川が合流して出来たという認識がなかったので、地図を見て、なるほどなぁ、と頷いた。
ナイル河も、白ナイルと青ナイルが合流して出来ているけれど、いきなり大きい川が出来るはずないものなあ。
さて、クール Chur(ドイツ語読みはフール)で一旦下車。荷物をコインロッカーに預けて街へ。コインロッカーのドアは大小あるが、いずれも奥行きは 1 m ほどで、だいぶ大きい。
クールはグラウビュンデン州の州都にして、約 5000 年(!)の歴史を誇るスイス最古の都市、らしい。
街は結構広く、雰囲気のいい旧市街もある。
中心地にある聖マルティン教会は、8 世紀に創建されたプロテスタント教会(現在のものは 15 世紀の再建)。
1450 年の建物もあった(リノベしてるけど)。
日曜なので、ほとんど店は開いておらず、人通りも少ない。
街中を電車が走っているので、トラムかと思ったら、レーリッシュ鉄道が、クール駅から隣の谷までは、市街を走っているという。えっ、そんなこと出来るんだ!
気温は 28 度。シャツ一枚で少し汗ばむ。
昼は Franziskaner という店へ。
頼んだのはカプンス Capuns Sursilvans。
カプンスはマンゴルというビートの仲間の植物の葉っぱで作った、ロールキャベツみたいなもので、グラウビュンデン州の料理。
牛乳で煮込むことが多いけれど、今回は煮込んだ後更にグラタン仕立て。
葉の中身は主にじゃがいも。小麦粉も混じっているのか、弾力がある。
小さく切ってグラタンソースをつけて口に入れると、柔らかい具に、チーズとクリームが広がる。乗せられた干し肉を小さく切って混ぜると、味に変化を与え、噛みしめるごとにじゃがいもとチーズと干し肉が、くりーむにとろかされていくようだ。
Franziskaner:★★★★☆(グラウビュンデン料理がいくつか選べる。味もなかなか宜しい)
15:00 近くになったので、チューリッヒの宿に行くことにした。クールからチューリッヒ中央駅はダイヤの都合で国鉄。
そういえば、国鉄の車両には「SBB CFF FFS」と、ドイツ語、フランス語、イタリア語で「スイス連邦鉄道」と書かれているのだけれど、ロマンシュ語はない。
話者が少ないからと言って、差別ではあるまいか、と思っていたら、ロマンシュ語圏はレーティッシュ鉄道があるので国鉄は走らないらしい。なるほど、合理的である。
チューリッヒ湖にはボートやヨットが浮かび、泳いでいる人もいる。もう夏なんだなぁ。
中央駅からホテルは西に歩いて 30 分くらい。
トラムで 15 分くらいなのだけれど、久し振りにチューリッヒに来たので、街に馴染もうと思い、徒歩を選んだ。
住民ならトラムを使うだろうから、歩くことが馴染むことになるのかは分からないけど。
さて、本日のホテルは Swiss Star Marc Aurel。
フロントのないアパートタイプのホテルである。ホテル裏手の駐車場の裏口の横に、キーボックスがあるので、そこでメールで送られてきている暗証番号を入れると、鍵が出てくる。で、部屋に行くのみ。
Swiss Star Marc Aurel にあるもの:デスク、テレビ、冷蔵庫(右上にごく小さい冷凍庫がついているアレ)、クローゼット(ハンガー 5 本)、アイロン(アイロン台はなし)、ドライヤー、バスタオル、足拭きタオル、フェイスタオル、コップ、ボディシャンプー。
基本的に、これ以外のものはないと思った方がいい。
アパートタイプといっても、湯沸かしや食器はない。Wifi は一応あるんだけど、ほとんどつながらない。
ベッドとトイレとシャワーはあるけど、ないホテルって見たことないしなぁ。
トイレットペーパーは予備が3個もあったので、これ、一週間の滞在中、掃除なしかなぁ。
何で細かく書くのかと言うと、ここはホテルの人がいないので、困っても助けが来ないから(ヘルプデスクに電話はつながる)。そして日曜だと、近くのスーパーも開いてないので、必要なものがあれば、中央駅の中のスーパーまで行くしかないのだ。
日曜でもレストランは開いてるし、スイスの水道水は日本人でも飲めるし、死にゃしないけどね。
最寄のトラム駅の Albisriederplatz 駅には、何と夜中にチーズフォンデュが食べたくなっても大丈夫な、セットを売っている自動販売機まである!(ホテルにキッチンがないので、温められないけど)
ホテルの数件となりのバー New Point で水やビールは買えるんだけど、安く上げたいので、中央駅のスーパーへ向かった。
チューリッヒのスーパーといえば、ミグロ Migro か コープ Coop だけど、ミグロは酒を売っていないので、僕はもっぱらコープ御用達。
なお、ミグロの方がちょっとだけ質がいい気がするので、お土産なんかはミグロで買う。
中央駅で掃除車を見かけた。レーティッシュ鉄道の車内販売車もだけれど、電車を模しているのだろう、形が味わい深い。
夕食は中央駅の中にあるシーフードレストラン「Nordsee」で食べようと思っていたら、駅が改装中で、閉まっている。
仕方ないので、地下にある Nordsee のスタンドで、フィッシュフライサンドイッチ 8.9 スイスフラン (約 1200 円) を頼んだ。
食べる場所はないので、周囲にあるフリーのテーブルで食べる。
……冷たい。サンドイッチだから、冷たくても仕方ないのかもしれないけど、冷たい揚げ物は、ちょっと苦手かな~~。
Nordsee スタンド (地下):★★☆☆☆(ちなみに地上階にあったレストランは、皿に乗った普通のシーフード料理を出してくれる。前使ったときは、ファストフードっぽいけど色々メニューがあって、また行ってもいいと思っていた。改装後にまたオープンするかは不明)
駅の Coop で安酒と水を買い、ホテルに帰る。
部屋が暑いので、窓を開けて、ぼんやり通りを眺めた。
夏時間の 20:30 はまだ明るく、通りに並ぶテラス席では日曜の夜をなごり惜しむ人々で賑わっている。
僕は何をやっているのだろう。
僕はストレスが溜まると旅に出る。人と出会い、新しいものを知る楽しみだけではなく、生きることに最低限必要なことに向き合えるからだ。
どっちのチケットが得なんだろう、と思っても、調べることが面倒くさくなったら、財布が許す範囲内で、絶対に違反にならないものを選べばいいのだ。
珍しいお土産の購入よりも、今日寝る場所の確保。食事よりは水。
ネットが繋がらない間に溜まった連絡のうち、返事の優先度はどれが高いのか。
取捨選択の中で、僕は自分に問う。お前は何を求め、何を捨てられるのか?
人生があと10年なら、何を目指すのか?1か月なら?
明るい空に、いつの間にか白い月が光り輝いていた。結局、僕は旅に逃げているだけなのかなぁ……。
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