20220616 レバノン料理は量にご注意

【チューリッヒ@スイス】

いつも通り早くに目が覚めたので、少し仕事していたら、呼び鈴が鳴った。

ルームクリーニングだろう。


「はい」

ドアの外の若い女性は、ぬっとトイレットペーパーを差し出した。受け取りながら僕は聞いた。

「お待ちしていました。掃除ですね?」

「いいえ。掃除はしません。これを持ってきただけです」

「えーと、今日掃除に来るって聞いたんだけど」

「それは間違いです。週一回しか掃除には来ません。まだ一週間たっていませんから」

「先週の日曜日から泊まって、来週の月曜日にチェックアウトするので、掃除は一回もないということ?」

「そういうことになりますね」

「シーツの交換は?」

「それもしないんだけど……。いいでしょう、予備があるから、あげます」

どさり、とシーツを渡された。自分で交換しろということらしい。

去ろうとする彼女に「あのう、ごみの回収は……」と声をかける。

「あ~~、それはします」

ごみを回収した後、ロールにしたごみ袋をくれた。自分でまとめろということのようだ。

まぁ、自宅の掃除もめったにしてない癖に、文句言う筋合いはないかも知れないけど。

Swiss Star ホテルグループは、他のところも泊ったことあるけど、大体こんな感じ。

だからいつも、間際まで空室があるんだよね。


「あ」

女性がフロアを去ってから気づいた。

ボディシャンプー、足してもらってない。

しょうがない、石鹸買ってくるか……。洗面台のカップも割っちゃったし。


ブランチはカップラーメン。ブランチという雰囲気かはさておき。

お湯がないので、30 分くらい水につけて置いておく。これ、警視庁が発信した災害時の豆知識で読んだんだよね。ちなみにパスタを水で戻して食べる場合は、3-4時間漬けておく。

水ラーメンは、意外とちゃんと食べられて、悲壮感はない。これまでの人生でカップラーメンを食べたことがなければ、こういう料理なのだと思ったかもしれない。

すごくいい言い方をすれば、冷製パスタみたい。


しばらく昼寝をしてから、買い物へ。

ピクルス 790g 1.3 スイスフランやら、石鹸5個 1.25 スイスフラン、カップラーメン 2.9 スイスフラン、コップ 3.5 スイスフランを購入。

ピクルスは驚くほど安いけど、スイス製ぽい。ビタミンが残っているかは知らないけれど、食物繊維くらいは摂れるだろう。

カップラーメンは今日食べたチキン味ではなく、野菜味を買ってみた。水ラーメン、割と気に入った。

さて、夕食は友人のR君と。彼は日本に来たこともある、日本びいき。

「何にする?レバノン料理はどう?」

「え……」

何でスイスに来てまでレバノン料理を食わにゃならんのだ、と一瞬思うが、ヨーロッパはレバノンからの移民が多いので、レバニーズレストランが多い。

日本ではあまり見かけないし、おいしいので僕も嫌いじゃない。良かろう。採用!


というわけで、Le Cedre へ。店名は、レバノン国旗のレバノン杉から名づけられたと思われる。店のマーク、国旗の杉部分だし。

頼んだのは、Hommos el Arez(スパイシーなひよこ豆のペースト)13.5 フラン、Babaghanouj(すりつぶしたナスのペースト)14.50 フラン、Fattouch(トマト・きゅうり・レタスなどのサラダ。レモン味で酸っぱい。あげて刻んだピタパンが載っている)19.50 フラン、Kibbe Miklie(仔牛のひき肉を穀物と混ぜて揚げたもの)16.50 フラン、Arayess Jnoubi(8時間煮込んだラムの肩肉をピタパンにはさんだもの)22.50 フラン。前三つが冷たい前菜、後ろ二つが温かい前菜。メインはなし。


「多くないかなぁ」と僕。

「大丈夫じゃない?」とR君。彼は結構食べるので、その胃に期待。


最初に来たのがサラダで、直径 30 cm くらいの皿に乗って出てきた。

うわぁ。これ、食いきれるかなぁ……。

続いてナスとフムス。これらはピタパンにつけて食べる。

食通のR君が御用達というだけあって、なかなかウマイ。ナスのザクロがいいアクセントになっている。


と、ここに、仔牛の揚げ物(無理に例えれば、メンチカツが一番近いか?)とラムの肩肉登場。

ラムの肩肉は、ピタパンの間に肉が挟まり、サンドイッチ状になっている(写真撮り忘れたけど)。


「!」

この肉二種が、大変美味しい。

レバノン料理(というか、中東料理全般)はスパイスが肝だと思うのだけれど、ひっそりとした存在感を放ち、出すぎず、引きすぎず、それぞれの肉の味を最大限に引き出している。山内一豊の妻というか。昨今、性役割は多様化しているので、不適切な比喩かなぁ。

肉汁がジュワ、というような華やかな感じではない。じっくりとうまみを閉じ込めて、口の中に入れた瞬間に、隠していた才能を放つのだ。味蕾全体で味わいたい。

敷かれた千切りキャベツで時々口をさっぱりさせては、再度フィールドへ参戦。


これはいける!いけるぞ!


……と思ったのだけれど、サラダとフムスとナスが残ってしまった。


「R君、きみ、大丈夫って言わなかった?」

「大丈夫、持ち帰れるよ!良かったら、どう?」

どうって言われてもなぁ。まぁ、いいけど。


食後はレバニーズコーヒーを頂いた。

鍋でコーヒーの粉とカルダモンを煮込んで、カルダモンの粒を取り除いたもの。

カップの底にはコーヒーの粉がたまっている。

コーヒーとカルダモンの香りはそれぞれ強いけれど、意外と喧嘩せず、食事を最後にまとめ上げてくれる感じ。なかなかいいな、これ。

Le Cedre:★★★★☆(美味しかったから星4つにしたけれど、ローカル飯ではないから、3.5 寄りの4)


帰りに近くにある St.Jacob BECK & KAFI の場所を教えてくれた。昨日のビスケットの店、ここが本店らしい。

10個お土産を買いたかったのに、6個しか店舗になかったという話をしたからだ。


「ダンケ・フィルマール!(スイスドイツ語の「ありがとう」)」


スイス土産と言えばチョコなんだけど、今回、乗り継ぎもあるし、溶けちゃうのが心配だから、ティルゲル(チューリッヒの伝統的ビスケット)にしたかったんだよね。

今日はもう閉まってるから、明日にでも買いに行こう。

ちなみにR君は、この店の経営母体である聖ヤコブ財団は、障碍者の支援もしているのだと教えてくれた。


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