20220511 マダガスカルの山で幸福について語る
【アンチラベ~フィアナランツァ@マダガスカル】
朝は眠かったので、ジブチでもらった小さなケーキを一口食べただけ。
午前は現場。
昼はアンブシトラという、フィアナランツァに行く道の途中の町に寄ろうかと思っていたのだけれど、時間が遅くなってしまったので、アンチラベで食べることにした。
町中は人が多く、車は途切れ途切れに進む。
通訳のルヴァのおすすめで入った「Pousse pousse(プスプス:人力車のこと)」にてエナバオリーナ・ソース Henabaolina saosy(ミートボールのソース煮)8000 アリアリを頼んだ。
肉がちょっとボソボソしたトマト味の煮込みハンバーグという感じ。この店のサカイは若葉色に色々なものが入っていて、ウマイ。
Pousse pousse:★★★★☆(味はそこまででもなかったんだけど、食後に無料でラムくれたんだよね……。ちなみにグラタン食べた同僚が感動していたので、基本的に美味しい店だと思う)。
食後、アンチラベを発ったのが 13:30。
今晩の宿、フィアナランツァまで、グーグルの予測が 5 時間、ルヴァの予測が 7 時間、運転手のジョゼの予測が 8-9 時間、さて、何時間かかるかな~~。
なお、今回はアンタナナリボからアンチラベで一泊してアンチラベからフィアナランツァに来たけれど、帰りは一気に、フィアナランツァからアンタナナリボ。
アンチラベの町を出て、15 分も走ると、水田が広がる。向こうに山。
住んでいる人には悲喜こもごもあるだろうけれど、僕は都会人の傲慢さをもって心を憩わせて頂く。
水田と山は、ちょっと日本の田舎を彷彿するんだよね。
昼食を取ろうと思っていたアンブシトラを通過したのは 16:00 前くらい。昼飯どころの話じゃなかったな。
町が結構大きいので驚いた。
道中、仕事のメールを送ったり、ルヴァからマダガスカルのことを教わったり。
関係ないことも結構話した。来年に迫ったマダガスカルの大統領選の話から、トランプ元大統領の話になったり、人の幸福とは何か、とか。
酒も飲まないで、よく話したもんだ。
「つまり、君にとって、幸せってのは何なの?」僕は聞いてみた。
「僕が何者であるか、何を持っているか、かな」
「何を持っているの?」
「少しだね……」ルヴァは静かに微笑んだ。
それが何を意味しているのか、僕には判断がつかなかった。
「トランプ氏はたくさんのものを持っているけれど、幸せかは分からないな」と僕。
「でも、彼は世界で最も成功している人の一人だ」
「そうかな。彼は成功者なのかな」
「君にとって成功てのは?」ルヴァが聞く。
「自分が持っているものに満足することだろうね……」
車窓は見飽きることがない。
水田、山、村、町。それぞれのカードをシャッフルして、適当に割り振る。そして人とこぶ牛をポンポンポンと配置しまして……。
マダガスカルのエリアの特徴も聞いた。
マダガスカルには 18 の種族がいるが、大雑把に中央高地の文化と、海沿いの文化、更に街と田舎とに分けられる。
中央高地の街の人は、夜も活動し、忙しく歩き回る。ルーチンの仕事に追われている。
マジュンガなど海沿いは暑いので、すぐイライラして、活動的ではない。すぐ休む。肌を出すのが好きで、うるさい。
ただ、トアマシナ(東部海沿い)は暑くないのに声は大きく、活動的ではない。
海沿いでも街の人は 20:00 以降もナイトライフを楽しんでいる。
トアマシナやマジュンガ,ディエゴなど、海沿いの街の産業はアンタナナリボと余り変わりなく、小売りやコールセンター、サイバーカフェなどもある。
「アクティブな方がイライラする印象なのだけれど、そうでもないんだね」
「海の方は、低くて暑いからかな」
「いまいちイメージ付きづらいなぁ。怠惰で怒りっぽいって、ヤなやつなんじゃ……?」
高地の田舎は農家が中心で、よく働く。
高地でも海でも、都会は何でも持っているが、田舎は何もない。電気も、道路も、水道もない。水は井戸から得て、食べ物は自分たちで育てた新鮮なものを食べている。
「新鮮なものを食べられるのは、数少ない、いいところだよね」ルヴァは言った。
農家の中でも格差があり、都会で商品を売れるような農家は、砂糖・塩・ろうそくなど、何でも手に入る。卸すだけでなく、街に店を持っていることもある。彼らは車などの道具を持っているが、普通の農家は徒歩やバスで最寄りの町へ行き、安い価格で製品を売っている。
ムルンダバなど、街ではない海沿いの町、特に西岸では漁業が中心。北部、東北部の一部では、海沿いでも農業も盛んで、バニラ・コーヒー・クローブ・ココアなど、高額な製品を作っていて、金持ちが多い。
アンタナナリボにいると、貧困があるとはいえ、食料はそれなりにあるように見えるのだけれど、南部は栄養不足や餓死がよく見られる。水が少ないために農業が盛んでなく、食べ物がないからである。その為、USAID やユニセフなどの人道的サポートは南部で多い。
山と村と、変わり続ける風景は変わらないように見えるが、次第に光が色付き、茜色に染まる。
アンボイマス Ambohimahasoa を通ったのは 18:00 頃。ルヴァによると、フィアナランツァの手前で最も大きい町とのこと。
町を過ぎると、ずっと山道だ。
あたりは暗くなり、僕もルヴァも、それぞれ物思いに耽る。
フィアナランツァの Zomatel ホテルに着いたのは 19:30 頃。
6 時間くらいで着いたので、運転手はだいぶ頑張ったようだ。
夕食はホテルで。
アコホシヴォアニオ Akoho sy voanio(鶏とココナッツ)24000 アリアリ。
香ばしくクリーミーなソースが肉の旨味を膨らませてくれる。マダガスカルは全般的に肉が美味しい。自然農法だから、味が濃いのかなぁ?
Zomatel ホテルレストラン:★★★★☆(雰囲気もいいし、料理もおいしい。マダガスカル料理もいくつかある)
このホテルはここらでは一番いいホテルらしいけれど、二週間前に泊まった委託先の人が、全身ダニに刺されたとかで、要警戒。
夕食の時に、道中同僚が買ったという、ヴォアナチンドラ Voanantsindrana (フランス語だと pok pok)をもらった。ほうずきの一種。どちらかといえば甘酸っぱいけれど,ごくあっさりとした控えめな味。
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