20220520 パリの夜はいつまでも

【パリ】

エールフランスのビジネスはフルフラットにならないけれど、そこそこ眠れた。

機内が少し明るくなり、パンとコーヒーの香りが漂う。朝食のオムレツはへなちょこ。

フランス入国のパスポートコントロールはかなり並んで時間がかかったが、問題なく入国。

ワクチンを接種していれば PCR は必要ない(日本入国のため、マダガスカルで PCR を行った)。前回、マダガスカルに行くときは、元々フランスに入国せざるを得なかったので、その手続きをしたところ、前日にエールフランスよりワクチン接種記録を送るようメールが来たが、今回は当初入国しない予定だったので、メールはなし。それでも、特に支障なかった。


一旦 Ibis ホテルにチェックインして、荷物を置いてから街に出かけた。今回は乗り換え時間が 24 時間以内だったので、入国せずに空港で 23 時間過ごそうかと思ったのだけれど、行に Air Side の Yotel Hotel に泊まった同僚たちが「めちゃくちゃ高いくせにマンガ喫茶並.食事する場所もないので、ホテルでは日本から持っていったコンビニおにぎりを食べた」との事前情報があったので、急遽入国の方針としたのだ。

空港から街へは、通常 RER(鉄道)B 線で出る。


「どこ行きますか?」

「ぼく、凱旋門行ったことないんだよね」年上の同僚、K さんは少し恥ずかしそうに言った。

「あ、僕もないです。行ってみますか?」若い同僚の J さんに振ってみる。

「そうですね。私はご一緒したあと、ポンピドール・センターに行きたいです」

「ちなみに K さん、カバン持ってないんですね」先ほどから気になっていたことを聞く。

「うん、パスポートと財布だけポケットに入れてきたよ」

「え?スマホもなしですか?」

「使わないでしょ」

確かに彼は、J さんがパリ、シャルルドゴール空港で SIM を買った時も買っていない。というか、マダガスカルでも、ホテル以外ネットフリー。僕みたいなネット中毒者としては感心するしかない。

地下鉄で凱旋門の最寄り駅、シャルル・ドゴール・エトワール駅に来た。乗るときには改札があるが、降りるときにはない。凱旋門に至る地下通路では、アジア系のアーティストがバイオリンを演奏していた。地下通路の音響は良く、音が鳴り響いていた。彼女はどのようにして、ここにいるのだろうか。


「大きいですね」凱旋門の下に立って、僕は呟いた。

「大きいですね」J さんも言った。

語彙力の少なさに皆で無言になるのだが、大きいのだ。

写真で見る凱旋門は遠景が多く、サイズが分かりづらいが、見上げると首が疲れるぐらい大きく、刻まれた彫刻は、ただの装飾ではなく、降りかかるような迫力を持っている。


幸い、僕たちは、同じぐらいのケチさと、同じくらいの体力のなさを持っていたので、料金を支払って門の上に登ることはなく、1870 年の共和国宣言プレートと、第一次世界大戦の無名兵士のための献火を眺めるだけにとどまった。僕たちは、いかほどの意味を持って、それを目にしただろうか。


さて、折角なので、みんなで凱旋門から延びる、シャンゼリゼ通りを歩いてみた。門から延びる大通りは、マダガスカルを髣髴する。

     - Aux Champs-Élysées♪

     - Aux Champs-Élysées♪


勿論僕たちは、蝶ネクタイでタップダンスを踊ったりはしない。多少の高揚感と、それを勝さる決まり悪さをもって、うつむき加減に歩くのだ。所詮は、乗り継ぎのサラリーマン……。
いや、パスポートと財布をポケットに突っ込んだだけの K さんや、ここぞというとき用のワンピースを着た J さんは、意気揚々と歩いていたのかもしれない。
とにかく僕は伏し目がちに、日本人のいない途上国と同じような場違い感を感じつつ、楽しんでいた。

「んー、ここは違いますねぇ」

J さんが路に並んだメニューを眺めて呟く。そう、フランスを誇るメイン通りのくせして、結構、ハンバーガーやポテトフライなど、多国籍料理が載っているのだ。

「日本語メニューありますよ」「色々あって、楽しめますよ」

ギャルソンたちが声をかけてくる中、僕たちは眉根を寄せて、目を合わせないように道を歩く。たった一日のパリ滞在。フランス料理以外を食べてなるものか。


「あっ、あれはどうですか!?」僕が指さしたのは、「L'Alsace」という店。

フランス北東部、ドイツとの国境にある、アルザスの名を冠する店ならば、ある意味フランス料理を食えるのではあるまいか。フランス料理は、各国料理を取り入れた、お洒落なパリ料理と、地方の文化に根差した料理の集合体だと、僕は思っている。

メニューを覗くと、果たして。シュークルート(ドイツのザワークラウトみたいな、発酵させたキャベツ。アルザスの名物。ソーセージや肉塊などと煮る)がお勧めではないか。腹が減り始めたこともあって、全員一致でテラス席に陣取った。

K さんと僕はシュークルートを頼んだら、めちゃくちゃ量が多かった。二人で一皿でも良かったなぁ。でも、濃厚な肉の脂を、さっぱりとしたキャベツが洗い流して、味はとても美味しい。柔らかい辛さのマスタードも、美味、美味。ただ、上層部はほぼ肉。

食後もシャンゼリゼをフラフラ歩きつつ、オークションの店に入った。これ、多分、美術品をオークションの前に下見させているんだろうなぁ。

美術館のような空間に入り込み、ほほう、なるほど、これは高値が付きますね。いや、少し筆致が荒っぽいんじゃないですかね。もっと繊細さが欲しいですな。などと、言いたい放題。

コンコルド広場を抜け、セーヌ河を渡り、おしゃれ百貨店,ボン・マルシェへ。まぁ、おしゃれ過ぎて、僕は何を買えばいいんだか分からなくて、適当に同僚二人と分かれて、夕食会場へ。

こないだとは別の、友人の友人二人に会うのだ。よく知らない人とも楽しく話を出来る(ことも多い)のは、僕の長所。

ちなみに、アルジェリア出身のカリムと、フランス人のロジャーが選んでくれたのはイタリアンレストラン「Papelli Fbg Saint Denis」。フランス料理以外を食べてなるものかってのは、方便みたいなものでして……。いんだよ、彼らがいいと思って選んでくれたんだから。

で、イタリアビールを飲みつつ、ピザを食う。旨かったよ。

カリムが英語で「仕事で日本人に会ったとき、アルジェリア出身だって言っているのに、別の知り合いにナイジェリア出身だって紹介するんだよ。"ナイんじゃない、アルんだよ!” って……」と披露する。僕は思わず噴き出したが、ロジャーは不思議な顔をしていた。

その後、新旧の10 ユーロ札やら、2 ユーロコインやら見せてくれた(コインはユーロ加盟国によって、模様が違う)。


ロジャーが「じゃあ、一枚とって!」と宝くじをくれた。ブラックジャックを模したカードは、親のカードよりも大きい数字が出れば、当たりなんだけど……、まぁ、そう旨くはいかないね。


「これ、当たったらどうすんの?」ロジャーに聞くと、「彼女に聞いてみなよ」と、店員を指さす。女性的な男性に見える店員は「あっら~。勝ったの、あなた?!あれ、勝ってないじゃない」と笑った。

「本当に勝った時のために準備しておこうと思って」というと、通りに出て、「TABAC」と書いたバー (バルタバ/ビュロッタバ Bal Tabac) を教えてくれた。

「あそこに行くの。新しいくじも買えるわよ」

イタリアンを出た後は、マレ地区 (ポンピドール・センターのある、セーヌ川の北のあたりのお洒落な地域) を歩き、サンドニ門へ。


ゲーム喫茶があったり。

そこから生ビールの充実している「Brew Dog Le Marais」へ行った。ビール、美味しゅうございました。


22:30 頃に聞いてみた。

「ちなみに終電っていつなの?」

「B 線?1:00 過ぎまであるんじゃない?」

「えーと、Google だと、もうバスしかないね」

バスだと、午前四時に帰り着くのが終バスらしい。あぁ、それは安心だね?


というわけでオペラ座に来る。

前回もストライキで B 線がなくなったから、オペラ座からバスに乗ったんだよね。


午前 4:00 って、終バスっていうか、始発だよね??前回も思ったんだけど、パリの人は、夜中まで飲むのか?僕を歓待してくれているのか??

酔っぱらいながら聞いた。「フランスでさぁ、どっか行くなら、どこがおススメ?」「アヌシー Annecy はいいよ!古い街が楽しめて……。冬ならコルマル Colmar もいいかなぁ」

アヌシー Accueil - Welcome - Lake Annecy Tourist Office (lac-annecy.com)

コルマル Visit Colmar | Visit Alsace


うん、フランス好きだよ。取り敢えず、美味しいものいっぱいあるしさぁ。

例えそれが、イタリアンだとしても!


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