20220417 ラマダン・カリーム!
朝食はホテルのバイキングなのだけれど、温かいものは鶏肉のトマト煮と、フライドポテトしかない。
時間は 8 時。ラマダン中なので、既にムスリムたちが朝食を終えて、余り残っていなかったのだろうか。
午前中はまず、現地事務所に行き、打ち合わせ。
次いで現場へ。
当地の人々と話をしていると、僕が言うことではないが、人に頼るというか、すぐに諦める印象。方針を立てて、それを遂行する、というやる気を感じない。いや、まぁ、人によるとは思うんだけど。
フランスの植民地時代から、多くの支援が入ったために、自分たちではままならないことが多かったせいだろうか。
こちらのリードで進められるといえば聞こえがいいが、パートナーとして心もとない面がある。
多くの太い道路は、真ん中は舗装してあるが、歩道、あるいは駐車スペースは土のままである(舗装の上に土が積もっているのかも)。
町の印象としては、全体的に砂っぽくて、建物は余りきれいではない。僕がこれまでに行った国の中ではスーダンに似ている。
帰り道、現地事務所の K さんから教わったスーパーマーケット Cash Center に寄った。
入口には "Ramadan Kareem!(恵み多いラマダンを!)" と書かれている。 この国の人にとって、ラマダンは宗教的でありつつ、日常的でもあるのだと思った。
入ってすぐにパン屋があり、パンやケーキ、ピザやサモサ(こっちではサンボサという)などを売っている。
中に入ると、スーパーというより DIY ショップのように、いろいろなものが並んでいる。食料は奥の方だ。
といっても、生鮮食品は冷凍品のみ。チーズやヨーグルトは売っているが、かなり高い。結局、遅いランチ用に韓国製のエビヌードル 630 フラン(約 440 円)と、シンガポール製のトムヤムヌードル 430 フラン(約 300 円)を購入。
食べたのはエビラーメン。日本のアジア食材店で売っている、人工的な味のアレ。
他に、パスティス(ハーブのリキュール)900 フラン(約 630 円)、モーゼルビール 500 mL 400 フラン(約 280 円)、チンタオビール 500 mL 400 フラン、水 1.5 L 100 フラン(約 70 円)。輸入品はやはり安くない。
K さんからは、レストランや、八百屋、酒屋 Fratacci なども教わった。
二か月前に赴任したばかりなのに、よく知っている。そうでないと生活できないのだろう。
食後デスクワークをして、夕方ミーティング。
ミーティング後、少し時間があったので、ホテルの周りを歩いてみた。壊れた建物や舗装されていない道路が多い。野犬もいる。でも、このごちゃごちゃした感じ、旅している気分になれて、好きなんだよねぇ。
ちょっと雰囲気のいい通りもあるし、夕暮れのモスクは美しかった。
道端には何をするともなく、椅子を置いて座っている人がたくさんいる。男性が主なのは、この国の失業率が 50% に近いからだろう。
「ニイハオ!」「ニイハオ!」
僕が道を歩いていると、いろいろな人が声をかけてくる。
「ボンジュール!」
昔はこういった人に反応すると、ダマされる元だ、などと言われたが、最近は取り敢えず、その国の言葉で挨拶をすることにしている。
嬉しそうに笑う人や、ニヤッとする人もいるし、仏頂面の人もいる。
それを見るのが楽しいのだ。
道端で、菰のようなものを被せて、女性たちが植物を売っている。その中の一人に話しかける。
「それは野菜ですか?」
「何言っているの。ドラッグだよ、ドラッグ!」
「え、じゃあ、写真は撮っちゃだめですよね?」
「別にいいよ、ほら!」
多分、カート Khat だと思う。カートは覚醒作用のある植物で、東アフリカの嗜好品。葉っぱをかむと、多幸感が生じる、らしい。日本では麻薬指定だが、ジブチでは合法。
宿に戻り、仕事をした後、Cafe de la Gare というレストランに行った。
現地事務所おすすめの、フレンチのお店。
店内が既に、先ほどの街中とは隔世の感。
メニューを頂けますか、と言ったら、黒板に書いたメニューを持ってきた。
東京のちょっとしたビストロと変わらない。
お値段はちょっとしないビストロ並。
アペリティフはブロッコリーのムース。
ブロッコリーと言っているけれど、白くて香ばしい味は、カリフラワーではないだろうか。
塩分が控えめで、上品な香りは、これから来るメニューへの助走をつけてくれる。
前菜は、マダムお勧めの「Croustillant de crevettes」3500 フラン(約 2500 円)。
「なんですか、それ?」と聞いたら、「ジブチのエビを使っていて、パリパリした……。とにかく美味しいのよ!私を信用して!」
(後で調べると、パリパリの皮で包んだエビのことで、いろいろなバリエーションがある)
マダムがそこまで言うなら、と頼んだら、これが、えらく、めちゃくちゃ、すごく、著しく美味しい。
僕が死ぬときに「これまでの人生で、最もおいしかったエビ料理は何ですか?」と聞かれたら、「オマエ、今聞くのはそれじゃないだろう」と思いつつ、このエビのことを思い出す気がする。
エビは小さいので、水分は少ないけれど、その分うまみが凝縮していて、ハーブの入ったオリーブオイルに味が染み出している。
なお、ジブチでは色々なエビが食べられるけれど、ジブチで捕れるエビは小さいようだ。
皮は一見揚げ春巻きの外側のように見えるのだけれど、卵白とコーンスターチでも使っているのだろうか、パリパリしているのに、しっとりしている。
そこに、絶妙な塩加減のエビ炒めを乗せ、頂く。脳天をがつんと殴られたようにうまい。思わず、目を閉じて味わう。
世界が今滅びるとしても、僕はこの味に集中したい。
メインは「Dorade Yassa」3900 フラン(約 2800 円)。タイのような魚のグリルに、スパイシーな玉ねぎをトッピングしたものだ。
表面がカリッと焼かれたジューシーで淡泊な魚に、ほの辛くさわやかに甘い玉ねぎがよく合う。
これも大変味わい深い。ソースもパンで舐め尽くすように食べた。
Cafe de la Gare:★★★★★(ジブチに来たら、一度は行くべき。この街に対する印象が変わるのではないだろうか。東京にも同等のお店は結構ある気がするけど、そういうことじゃ、ないんだなぁ)
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