20220422 二番目にからい湖に風が吹く

【アッサル湖@ジブチ】


本日は金曜なので、イスラム暦的にお休み(日曜から働く)。

朝食はマッシュルームの炒め物、ひき肉の炒め物、フライドポテト。他の客が頼んでいるのを見て、オムレツも頼んでみた。


さて、本日はアッサル湖、すなわち塩湖に行ってくる。Casino スーパーでサンドイッチを買い、西に向けて出発。


一時間ほどで家がまばらになってきたと思ったら、エチオピアレイルウェイの貨物列車がのんびりと走っている。

時々工場のようなものがあったり、小屋(家?)があったり。


南北に走っている道から、西に向かう道が分かれる辺りから、ほとんど建物はなくなり、ダナキル砂漠と呼ばれる岩石砂漠が始まる。

ときどきラクダやガゼルなどがいると、運転手のアナハラが、気を利かせてスピードを下げてくれる。

「日本にはラクダはいないのか?」

「いないねぇ。動物園くらいじゃないかなぁ」


砂漠の中に時々、ぽつんと家が建っていることがある。あの人たちは、どうやって、なぜ、あそこで暮らしているのだろう。

時々見かける、ドーム型の小屋(アカルバディ)は、骨組みの上に、コモやビニールを被せて作る。ゲルのようなこの小屋には、遊牧民だった頃の名残を感じる。


あとはコンクリートの家やら、トタンの家、石を積んだ家など。

住宅の最低限のニーズとは何だろう、などとぼんやり見ていた。

アッサル湖の手前にあるグベ湖で小休憩。曇りだったので、余り良く見えなかったが、晴れていればずいぶん綺麗だったろう。

展望台のようなところに色々並んでいるので眺めていると、そばの石の小屋の中からバラバラと数名の若者が現れた。

あ、お土産か、これ。

ビニールに入った白いのは塩。軽石のラクダやキレイな石などを売っている。小さいラクダで 1000 フラン。

湖のほとりに風力発電所もある。ほとんど動いてないけど、回るときはあるんだろうか。

そういえば、こっちにきてから停電はないなあ。

ウガンダもほとんど停電はなかったけれど、数日に一回は数分程度はあった。


それで思い出したが、昨日の夕食の時、ジブチでも数年前のデモの時から Facebook は制限があると事務所の人に教えてもらった。「だから VPN を使ってください」

ただ、VPN を使わなくても通じることもあれば、使っても通じないことがあるから、何とも不確実である。

LINE と Whatsapp は使えるので、ウガンダやジブチでは、Facebook 以外で連絡をする方が良いようだ。


「あ、あれじゃないですか?!」


若い同僚 S さんの指差す先に湖が見える。アッサル湖である。

標高マイナス 155 m、アフリカ大陸で最も低地、世界でも三番目に低い。

湖の端はベージュで、塩が析出してるようだ。並んでいるタンクは塩工場だろうか。


駐車場に来ると、土産物が並んでいる。

袋に入った塩と、ヤギだかガゼルだかの頭蓋骨に塩が析出したもの、綺麗な石などを売っていた。


「ニホン?」

小太りの少年が近づいてきた。

「ウィ、ニホン」

「シオ、シオ」

両手に持った塩の包みをこちらに差し出す。

「あ~~、今から湖入ってくるから、その後でいい?」

「アフター」少年はうなづいた。

「ミー、マハメド。フォト、オーケー」


写真を撮らせて、塩を断りづらくする戦法か。

いいだろう、乗っておこう。

「ジブチーー!」

マハメドはそう言ってポーズをとった。

「リターン、シオ、ミー!」

しきりに自分を指差す。戻ってきたら、他の少年ではなくて、自分のところで買えよ、と言っているのだろう。

目のくりくりした、利発そうな少年である。売り場も一番広く、他の少年たちを統率しているように見える。


昔、ボリビアのウユニ塩湖に行ったことがあるが、亀甲状に析出した塩の間に水が溜まり、鏡面のようになるウユニ塩湖と、アッサル湖はだいぶ様子が違った。

砂浜のように見えるところは結晶となった塩で、ゴツゴツしている。

向こうには波間が見え、ぱっと見は南の海のようだ。しかし、浜も水の中も岩のようになっているため、歩くのは困難である。

「スミマセン、スニーカー取ってきてください……」


S さんは波打ち際に裸足で佇み、泣きそうな顔で頼んだ。頑張ってここまで裸足で歩いてきたが、前にも後ろにも歩けないほど、痛いようだ。


スニーカーを渡されると、S さんはそのままざぶざぶと湖に入っていった。た、たくましい……。


僕はサンダルだったので、ズボンを捲し上げ、そのまま入っていった。

水は温水プールというよりぬるい足湯のようだった。波が膝下を洗う感触が心地いい。

「塩っぱい!すごく塩っぱいです!」

S さんがびっくりしたような声を上げる。

舐めるんだ、それ。


僕も真似をしてみた。

確かに塩っぱい。塩っぱいというか、口がビリビリして、辛い。舌を金槌で殴られたようだ。


「塩の濃度は世界で 2 番目で、死海よりも濃いそうですね」

もう一人の同僚、N さんが言う。N さんは S さんの上司に当たる知的な女性で、仕事以外でも頼りになる。

ちなみに、1 番濃いのは南極のドンファン池なので、アッサル湖の塩分濃度が高いのを気温のせいだけにしてはいけない。


持ってきた水で足を洗ってから、浜でサンドイッチを食った。何だかピクニックみたいだなぁ。

戻り始めると、向こうの方でモハメドがいい笑顔で、飛び跳ねるように手を振っているのが見えた。

僕たちは、彼にだいぶ魅了されてきた。


塩は粉状のものから直径 5 mm のボール状のものまで、四段階の大きさがあった。


「どうやって作るの?」

「水を汲んできて置いておくだけ(意訳)。一回だけだと、粉に、繰り返すとだんだん大きくなっていく。一番大きいこれは、4回やっている」

「煮たりしないの?」

「しない。放っておくだけ」


調べてみると、暑さで水が蒸発する間に、風で粒が転がるために丸くなるのだそうだ。

風力発電所といい、風の強い地域のようだ。

粉末状の塩は 300 フラン、ボール状のものは、大きさに関わらず 500 フラン。

大きい方が手間がかかっていて価値がある気がしたので、一番大きいやつを購入。


「これ、あげる」

モハメドは、塩の結晶の塊を呉れた。結構大きい。

「えっ、いいの?これ、売り物じゃないの?」

「大丈夫。ギフト」

周りから寄ってきた少年たちが「水,水」というので、余っている水を渡した。

確かに、こんなところに一日中いたら、干からびてしまいそうだ。ラマダン中でも、飲んだ方がいい気がする。


帰り道、アナハラからソマリ語を教わる。ソマリア系のイッサ族はジブチの人口の半分ほどであるが、ほとんどのジブチ人はソマリ語を話せるそうだ。


こんにちは - ナバットゥ

ありがとう - ワットマッサンテイ

おやすみ - アベーンワラクセン

おいしい - ワッフィアンテイ

さよなら - サラーモ


車内で、明日はジブチ市のムシャ島に行こうかという話になった。

アナハラは、島に行くボートは漁港 Port de Peche から出るという。ジブチ港は貨物用らしい。


Port de Peche に着くと、アナハラは周囲の人達に聞いて、明日のボートのことを調べてくれた。

「好きな時間に往復して、一艘 35000 フランだ」

「高い!もうちょっと安くならない?」

「だめだ.35000 フラン。ラストプライス」


うーん。

思わず、同僚たちと顔を見合わせる。

ネットでは、一人で参加した人が 10000 フランだったと書いてある記事を見つけた。

ただ、彼は他の団体に混ぜてもらったと書いていたので、一艘 35000 フランは妥当なのかもしれない。


でも、片道 40 分で 25000 円かぁ。ジブチ、物価高いなぁ……。

ひそひそと N さん、S さんと相談し、ホテルの人に相談しようという結論になった。


でも、ホテルのフロントの女性は「ムシャ島のボート?知らないわねぇ」と困った顔をした。

「明日の朝、詳しい同僚が来るから、聞いてみるといいわよ」


明日は明日の風が吹く方針として、いったん解散。


夕食はホテルから歩いて 5 分くらいのエチオピア料理屋「La Fontaine」へ。

Google マップだと「Restaurant La Terrasse」で検索すると、その屋上階にある。

階段を登り、屋上に出ると、涼しいというほどではないが風があり、気持ちがいい。

三人で三皿たのみ、シェアすることにした。


牛肉のティブス Tibs Boeuf 1100 フラン。

ドロワット Doro Watt(鶏のワット)1200 フラン。

魚のボサナ Bosana Poisson 800 フラン。

水 2L 200 フラン x 2本。

三人で計 3400 フラン(約 2400 円)!酒がないことを割り引いても、ジブチの物価を考えると、かなり安い。


ちなみに、ティブスも、ワットも、ボサナも、辛いシチューのような、辛くないカレーのような煮込み。日本人がその違いを語るには、少々訓練が必要。いずれも、頼むとインジェラ(エジプトの主食。酸っぱいクレープ)が含まれていて、包んで食べる。


それぞれ異なったスパイスを合わせているけれど、全般的に香りは抑えめで、素材のうまみが引き出されている。

どれも美味しかったが、牛肉のティブスはかなり秀逸。これは三人の意見が一致した。

辛さの控えめな(と僕は思ったのだけれど、S さんは「何言ってるんですか、めちゃくちゃ辛いですよ」と言っていた)煮込みを口に入れると、ふわりとミックススパイスが香る。

インドカレーのように、スープ自体が美味しいというよりも、汁はあくまで、牛肉を引き立てる脇役である。

ジブチは大体、肉は美味しいと思うのだけれど、ここの牛肉は、噛むほどに味が出てくる。汁がそのうま味を包み込み、舌全体に広げる。


これはなかなか。ジブチに住んでいたら、しょっちゅう来ちゃうかも。

食後にエチオピア・コーヒーを頂いて、終了。

食い過ぎた~~。


La Fontaine:★★★★☆(うまい、安い、早くはない)


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